検査で異常がないと言われたのに、めまいやふらつきが何か月も続いている。そんな「病院で治らないめまい」の原因の一つに、**PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)**という病気があります。PPPDは自律神経の乱れと混同されやすいのですが、診断基準があり、治療法も確立されつつあります。この記事では、PPPDの特徴、自律神経との違い、診断のポイント、治療と日常生活の工夫を解説します。
病院で治らないめまいの原因は「異常なし」ではないことも
「耳鼻科でもMRIでも異常なし。自律神経失調症でしょう」と言われた経験がある方は少なくありません。
めまいの原因は、耳の病気(良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎など)、脳の病気、血圧や貧血などの全身の病気と幅広くあります。これらは検査で見つけられますが、慢性的なめまいの中には、検査では異常が出ないのに症状が続くものがあります。
従来こうしたケースは、原因不明の「めまい症」や「自律神経失調症」とされてきました。しかし近年はPPPDという病名が定義され、めまい症とされてきた患者さんの多くがPPPDに該当すると考えられています(日本医事新報社の専門医解説による)。
PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは
PPPDは、2017年に国際学会(バラニー学会)が診断基準を発表した比較的新しい病名です。日本めまい平衡医学会も診断基準を紹介しています。
主な症状
- 浮動感(ふわふわする)
- 不安定感(ふらつく)
- 非回転性のめまい(ぐるぐる回る感じではない)
これらがほぼ毎日、3か月以上続くのが特徴です。
症状が悪化する3つの場面
| 悪化要因 | 具体例 |
|---|---|
| 立位・歩行 | 立っている時、歩いている時 |
| 体や周囲の動き | 車や電車に乗る、人混みで人が動く |
| 視覚刺激 | スーパーの陳列棚、スマホやPCの画面、複雑な模様 |
横になっていると楽で、立つと悪化することが多いのも特徴です。
きっかけは何か
PPPDは、BPPVや前庭神経炎などのめまいの病気、あるいは強い心理的ストレスなどをきっかけに発症します。きっかけとなった病気が治っても、めまいだけが残ることがあります。これは、脳がバランスの情報を処理する仕組みが「過敏モード」のまま戻らなくなっている状態と説明されます。
PPPDと自律神経の関係:同じではないが無関係でもない
検索でよく結びつけられる「自律神経」とPPPDですが、整理しておきましょう。
「自律神経の乱れ」だけでは説明できない
自律神経失調症は医学的に明確な診断基準を持つ病名ではなく、症状を総称した言葉として使われることが多いものです。一方PPPDには、バラニー学会による診断基準があります。
PPPDは、前庭系(平衡感覚)と脳の機能的な不具合として考えられています。つまり、単なる「自律神経のバランスの乱れ」とは区別して捉えるのが適切です。
自律神経症状が重なることもある
ただし、PPPDの方は、不安や緊張が強い状態が続きやすく、動悸、頭痛、肩こり、睡眠の質の低下など、自律神経の不調に似た症状を併せ持つことがあります。ストレスや疲労が症状を悪化させることもあります。
また、PPPDは心の弱さや気のせいではありません。きっかけには心理的要因が関わることがありますが、脳の機能的な変化による実際の症状です。
自律神経の病気との見分けも大切
立ちくらみが主体の場合は、起立性調節障害や起立性低血圧など、別の病気が隠れていることもあります。「立つと悪化する」点が似ているため、血圧測定などで鑑別が必要です。自己判断せず、専門医の評価を受けましょう。
PPPDを疑うセルフチェック

次の項目に当てはまるものが多い場合、PPPDの可能性があります。
- めまい・ふらつきがほぼ毎日、3か月以上続いている
- 回転するめまいではなく、ふわふわ・ゆらゆらする
- 立っている時や歩いている時に強くなる
- 電車、車、人混み、スーパーなどで悪化する
- スマホやパソコンの画面を見ると気持ち悪くなる
- 病院の検査で「大きな異常はない」と言われた
- めまいのきっかけになった出来事(めまい発作、ストレス、体調不良など)がある
これはあくまで目安で、診断ではありません。 診断は問診を中心に医師が行います。
PPPDの診断と受診先
診断の流れ
診断では、まず脳梗塞や脳腫瘍、耳の病気など、他の病気を除外します。そのうえで、症状の経過や悪化パターンを問診で確認し、診断基準に照らして判断します。
受診先の目安
- めまい専門外来、耳鼻咽喉科(めまいを専門とする医師のいる施設)
- 神経内科、脳神経内科
- 心療内科、精神科(不安や抑うつを併発している場合)
初診では、「いつから、どんな時に、どんなめまいがあるか」を記録したメモを持参すると診断がスムーズです。回転性か浮動性か、悪化する場面、きっかけの出来事を書き出しておきましょう。
PPPDの治療法
専門医の解説では、PPPDは自然に軽快することが少ないとされ、放置せず適切な治療を受けることが勧められています。治療は主に3本柱です。
1. 薬物療法(SSRI・SNRI)
抗うつ薬の一種であるSSRIやSNRIが使われます。うつ病の治療薬ですが、PPPDでは「うつを治す」ためではなく、脳の過敏な状態を整える目的で用いられます。新潟大学の研究では、SSRI/SNRIを使った群で、6〜12か月後にめまいの重症度を示す指標が改善したと報告されています。
なお、効果が出るまでに時間がかかる場合があり、副作用もあるため、必ず医師の指示のもとで服用してください。ちなみに、薬物療法の有効性については、現時点で質の高い比較試験が限られており、さらなる研究が必要とされています(コクランレビューより)。
2. 前庭リハビリテーション
めまいを避けるのではなく、少しずつ動きや刺激に慣らしていく運動療法です。頭を動かす運動、視線を安定させる運動、バランス訓練などを、専門の理学療法士や医師の指導のもとで段階的に行います。
3. 認知行動療法(CBT)
「まためまいが起きるのでは」という予期不安や、「動くと悪化する」という思い込みを和らげ、行動の範囲を広げていく心理療法です。
これらは単独でなく組み合わせて行うことが一般的です。
日常生活でできるセルフケア
治療と並行して、次のような工夫が役立つことがあります。
避けすぎない
めまいが怖くて外出や運動を避けると、脳がさらに過敏になりやすくなります。無理のない範囲で、少しずつ活動量を増やしましょう。
生活リズムを整える
睡眠不足や過労は症状を悪化させます。就寝・起床時間を一定にし、朝日を浴びることで自律神経のリズムも整いやすくなります。
軽い運動を習慣に
ウォーキングやストレッチなど、負担の少ない運動がおすすめです。症状が強い時は無理をせず、医師と相談しながら進めてください。
画面との付き合い方
スマホやPCで悪化する場合は、休憩を挟む、画面の明るさを下げる、文字を大きくするなどの工夫を試しましょう。
症状日記をつける
めまいの強さ、時間帯、天候、睡眠、ストレスなどを毎日記録すると、悪化パターンが見えてきます。診察時にも役立ちます。
病院で改善しないめまいには自律神経整体がおすすめ

検査で異常がないのにめまいが続く理由
めまいの原因は、耳の病気や脳の病気だけではありません。検査で明らかな異常が見つからない場合、ストレスや睡眠不足、不規則な生活、首や肩のこりなどによる自律神経の乱れが影響している可能性があります。自律神経は血流や体のバランス調整を担うため、乱れるとふらつきや浮遊感が起こりやすくなります。
枚方自律神経調整院自律神経整体でめまいにアプローチ
自律神経整体は、首・背中・肩まわりの筋肉の緊張をやわらげ、体の緊張状態を整えることを目指す施術です。首まわりの筋肉がこわばると、頭部への血流や感覚の情報伝達に影響が出ることがあります。体をゆるめてリラックスしやすい状態をつくることで、不調の軽減が期待できます。
病院で改善しないめまいは、自律神経の乱れが一因となっている場合があります。自律神経整体で体の緊張を整え、生活習慣の見直しと合わせて取り組むことで、改善の糸口になる可能性があります。
こんな時はすぐに受診を
次のような症状がある場合は、脳卒中などの可能性があるため、すぐに救急受診してください。
- 突然の激しいめまいと同時に、ろれつが回らない、手足に力が入らない
- 物が二重に見える、顔や手足がしびれる
- 今までに経験したことのない激しい頭痛を伴う
- 意識がもうろうとする
まとめ:病院で治らないめまいにも原因と対処法がある
「病院で治らないめまい」は、検査で異常が見つからなくても、PPPDという診断名がつく可能性があります。PPPDは自律神経の乱れと似た症状を示すことがありますが、診断基準のある独立した病気であり、気のせいや性格の問題ではありません。
ポイントを振り返ります。
- ふわふわ・ふらつくめまいが3か月以上続き、立位・動き・視覚刺激で悪化するならPPPDの可能性がある
- 自律神経失調症という言葉で片づけず、めまいを専門とする医師に相談する
- 治療は薬物療法、前庭リハビリ、認知行動療法の組み合わせが基本
- 症状を恐れて避けすぎず、生活リズムを整えながら少しずつ慣らす
長引くめまいに悩んでいる方は、めまい専門外来などで一度相談してみてください。適切な診断と治療につながれば、症状が改善する可能性は十分にあります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療を代替するものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください。



